地方競馬における各競馬場のレベルと力関係について徹底調査

地方競馬におけるレベルと力関係を探る

地方競馬は全国17箇所(うち3箇所は休止中)で開催されていますが、全国的にレベルが平均というわけではなく、むしろ地区ごとにレベルの差が歴然としている状況です。

どうしてそういう状況になっているのでしょうか?
そしてどの地区がレベルが高いのでしょうか?
全国的な地区ごとの力関係はどうなっているのでしょうか?

素質の高い馬が集まれば、必然的にその競馬場のレベルは向上し、次第に強い馬が揃うようになって、さらなるレベルの向上が見込まれます。
そのためにはレースのレベルを上げなければいけませんが、そうするためには素質の高い馬が集まりやすいようにする必要があります。

そうするために各競馬場の関係者達は、どういう工夫をしているのでしょうか?
またどういう環境整備をしているのでしょうか?

今回は全国の地方競馬場の概況などを見ていきながら、地方競馬における各地区間のレベルと力関係を見ていきますので、最後までどうかお付き合いください。

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各地方競馬場の売上・規模について

各地方競馬場の売上・規模について

多くの観客を集め、馬券を買ってもらえるような環境が整えば、売上金額も大きくなり、その分賞金も上がって有力馬が揃い、必然的にレベルも上がります。

また立地的な制約もあって現地に観客を呼び込めなかったとしても、開催条件をそれまでの平日昼間から夜間とか週末等に変更すれば、その分売上増加も見込めます。

ここでは全国15競馬場(休止している2場は除外)の2022(令和4)年度(2022年4月1日〜2023年3月31日)入場人員及び売上金額を紹介します。

競馬場 回数 日数 入場者数(人) 売上金額(円) 場外発売分(円)
帯広 25 148 279,837 55,418,302,600 54,152,091,000
門別 15 85 47,759 52,725,791,700 52,362,549,500
盛岡 11 66 107,363 41,549,302,300 40,604,081,300
水沢 11 63 89,623 26,100,461,600 25,235,414,600
浦和 13 58 117,390 66,379,223,190 64,337,580,490
船橋 12 60 106,940 94,739,607,600 93,342,684,600
大井 19 97 293,191 195,457,236,170 189,724,563,070
川崎 13 64 144,155 106,327,905,000 104,006,141,400
金沢 22 88 168,004 27,436,056,800 25,288,847,500
笠松 21 99 82,933 42,655,089,900 41,700,980,100
名古屋 27 113 122,891 76,233,183,900 74,954,923,000
園田 24 131 250,942 101,270,654,500 97,200,312,200
姫路 5 30 32,107 21,176,747,600 20,742,303,000
高知 19 109 76,769 94,608,061,600 93,711,228,600
佐賀 23 116 287,238 68,282,059,400 66,402,912,600

入場人員ランキング

入場人員では、大井→佐賀→帯広の順で多かったのですが、「ばんえい競馬」という特殊な開催形式のホッカイドウ競馬・帯広競馬場を除くと、3位には園田競馬場が入りました。

1位 大井競馬場 29万3,191人
2位 佐賀競馬場 28万7,238人
3位 園田競馬場 25万942人
4位 金沢競馬場 16万8,004人
5位 川崎競馬場 14万4,155人

このうち、人口の多い首都圏・関西圏である大井・園田両競馬場が上位にランクされるのは当然として、2位に佐賀競馬場が入った点が注目されます。

これは開催日数が全国3番目の116日というのもありますが、開催日が主に週末の土日と祝日、しかも年間を通して薄暮開催のため、集客しやすい点も影響していると思われます。

ほかにも北陸の金沢競馬場が第4位に入っていますが、開催日数が多かったことが影響しており、売上金額(2,743億円)を見ると、規模はそれほど大きくありません。

三大都市圏(首都圏・関西圏・中京圏)のうち、名古屋競馬場は第6位に入っていますが、場所が名古屋中心部から少し離れた弥富市にあり、アクセスの悪さが影響していそうです。

売上金額ランキング

一方売上金額ですが、三大都市圏にある大井→川崎→園田の順でランクされました。

1位 大井競馬場 1,954億5,723万6,170円
2位 川崎競馬場 1,063億2,790万5,000円
3位 園田競馬場 1,012億7,065万4,500円
4位 船橋競馬場 947億3,960万7,600円
5位 高知競馬場 946億806万1,600円

川崎競馬場は入場者数第5位ですが、場外発売分での売り上げが多く、こちらは大井の1,897億円に次ぐ1,040億円で第2位につけました。

川崎の売り上げが多いのに入場者数が少ないのは、都心から多少離れているために、場外発売ないしネット投票で参加する人が多いからかと考えられます。
あとは三大都市圏の一角に入る船橋競馬場が4位に入っていますが、5位に高知競馬場が入っているのが見逃せません。

高知競馬場は、入場者数は7万6千人と多くありませんが、ここも佐賀競馬場同様に、土日の週末を中心にナイターで開催している点が注目されます。

高知・佐賀両競馬場が週末のナイターに開催しているのは、中央競馬に参加した客をそのまま取り込む狙いかと思われますが、それが売り上げにも貢献していると言えるでしょう。

規模の大きい競馬場Best5

以上を概観すると、以下のあたりが規模としては大きい競馬場であると言えるでしょう。

規模の大きい競馬場Best5
・大井競馬場
・川崎競馬場
・園田競馬場
・船橋競馬場
・高知競馬場

高知以外の4競馬場は大都市圏に所在しているため人口も多く、その分だけ来場者数も売上金額も大きくなるのは当然と考えられます。
それに対して高知競馬場ですが、高知市とその周辺自治体の人口を考えれば40万人にも満たないために、大都市圏の競馬場の商圏とは比べものにならない規模です。

それでも、大都市圏の競馬場と比肩するほどの売上金額を誇っており、開催時期を調整したり馬券を買いやすい時間に発走時間を設定するなどの創意工夫が実ってのことでしょう。
高知競馬関係者の方々の経営努力には、頭が下がる思いですね。

各地区ごとの力関係を概観する

各地区ごとの力関係を概観する

次に、各地区ごとの力関係を概観していきますが、指標の一つとして、各競馬場で開催されている重賞のレース数を、グレード別(JPN含む)に挙げます。

各競馬場の重賞一覧

レースのグレードが高いということは、それだけ賞金額も高いということで、多くの有力馬が出走してくることから、ハイレベルな戦いが展開されるはずです。

またグレードの高いレースが多ければ多いほど、その地区のレベルが高いということの証になり、さらなるレベルの上昇が期待できます。

そうした観点から、各地方競馬場のグレードレースを列挙し、その地区がどのくらいレベルが高いかを概観していきます。
なお帯広競馬場については「ばんえい競馬」の開催しかないことから、参考として記載することを、ご了承願います。

・帯広競馬場

なし
最高賞金レース:ばんえい記念(1着賞金1,000万円)

・門別競馬場

JPN3
北海道スプリントカップ
ブリーダーズゴールドカップ
エーデルワイス賞
最高賞金レース:ブリーダーズゴールドカップ(1着賞金3,100万円)

・盛岡競馬場

JPN1
マイルチャンピオンシップ南部杯
JPN3
マーキュリーカップ
クラスターカップ
最高賞金レース:マイルチャンピオンシップ南部杯(1着賞金6,000万円)

・水沢競馬場

なし
最高賞金レース:一條記念みちのく大賞典、桐花賞、シアンモア記念(1着賞金1,000万円)

・浦和競馬場

JPN2
さきたま杯(※1)
浦和記念
JPN3
テレ玉杯オーバルスプリント
最高賞金レース:さきたま杯、浦和記念(1着賞金4,000万円)

・船橋競馬場

JPN1
かしわ記念
JPN2
ダイオライト記念
日本テレビ盃
JPN3
マリーンカップ
クイーン賞
最高賞金レース:かしわ記念(1着賞金8,000万円)

・大井競馬場

G1
東京大賞典
JPN1(※2)
帝王賞
ジャパンダートダービー
JPN2
東京盃
レディースプレリュード
JPN3
TCK女王盃
東京スプリント
最高賞金レース:東京大賞典(1着賞金1億円)

・川崎競馬場

JPN1
川崎記念
全日本2歳優駿
JPN2
エンプレス杯
関東オークス
JPN3
スパーキングレディーカップ
最高賞金レース:川崎記念(1着賞金8,000万円)

・金沢競馬場

JPN3
白山大賞典
最高賞金レース:白山大賞典(1着賞金2,500万円)

・笠松競馬場

なし
最高賞金レース:オグリキャップ記念(1着賞金2,000万円)

・名古屋競馬場

JPN2
名古屋グランプリ
JPN3
名古屋大賞典
かきつばた記念
最高賞金レース:名古屋グランプリ(1着賞金3,800万円)

・園田競馬場

JPN2
兵庫チャンピオンシップ
兵庫ジュニアグランプリ
JPN3
兵庫ゴールドトロフィー
最高賞金レース:兵庫チャンピオンシップ(1着賞金3,500万円)

・姫路競馬場

なし
最高賞金レース:白鷺賞(1着賞金1,000万円)

・高知競馬場

JPN3
黒船賞
最高賞金レース:黒船賞(1着賞金3,000万円)

・佐賀競馬場

JPN3
佐賀記念
サマーチャンピオン
最高賞金レース:佐賀記念、サマーチャンピオン(1着賞金3,000万円)
※1 2024年度より、JPN1に昇格予定
※2 2024年度より、羽田盃と東京ダービーが加わる

レベルは南関東が一番高い

ここまで各競馬場の重賞レースと最高賞金レースを見てきました。
こうして見てみると、賞金額といいグレードレースの数の多さといい、南関東のレベルが一番高いと言って良いのではないかと考えます。

南関東4競馬場だけでグレードレースの数は実に20を数え、他地区を凌駕していますし、最高賞金レースにしても1億円とか8千万円とか高額レースが多く揃っています。

・1着賞金額ランキング

競馬場名 レース名 1着賞金額
大井競馬場 東京大賞典 1億円
川崎競馬場 川崎記念 8,000万円
船橋競馬場 かしわ記念 8,000万円
盛岡競馬場 マイルチャンピオンシップ南部杯 6,000万円
浦和競馬場 さきたま杯、浦和記念 4,000万円

他地区では盛岡競馬場のマイルチャンピオンシップ南部杯を除けば、1着賞金は軒並み3,000万円程度ですが、開催規模などを考えると、このくらいの金額が妥当なのかもしれません。

賞金額が高くなればなるほど、当然のことながら有力馬が出走してきますし、それに合わせて必然的にレースのレベルや出走馬のレベルも上がってきます。

そうして有力馬が出走してくれば、それだけレース自体に対するファンの注目度も高まりますから、それに合わせて馬券の売上金額も増えてくるということです。

売り上げが増えれば増えるほど、スタンドや競走施設の改善も行われやすくなって、入場人員の増加にもつながり、競走馬・騎手の育成もできて、レベル向上も行われやすくなります。

やはり全体的なレベルの向上を目指すのであれば、一にも二にも売り上げの回復・向上は見逃せない要素ですよね。
そういったわけで地方競馬におけるレベルは、以下の形に定義づけることができるのではないでしょうか。

南関東>関西圏>中京圏>それ以外
参考 地方競馬場コース攻略!各コースの特徴をわかりやすく徹底解説!
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まとめ

以上「地方競馬におけるレベルと力関係」についてご紹介してきました。
今回の記事をまとめると、以下のとおりとなります。

まとめ
・地方競馬において、各競馬場間のレベルの差は、明確に存在している。
・グレードの高いレースの多い競馬場は、その分だけ賞金も高く、レベルも高い。
・グレードの高いレースを開催した競馬場は、その分入場人員も増え、売上金額も多い。
・レベルが高く、売上金額も多い競馬場は、三大都市圏を中心に存在している。
・したがって地方競馬におけるレベルは、南関東>関西圏>中京圏>それ以外と定義できる。

レベルを上げようとするなら、レースの賞金額を上げて有力馬が出走できる環境を作る必要があり、そのためには売上金額を増やさなければいけません。

売上金額を増やすためには、都市中心部からのアクセスをよくし、週末・ナイター開催にするなどして集客を改善、あるいは場外発売・ネット投票で参加しやすい環境整備が必要です。

そうした改善のためには、競馬を主催する団体の創意工夫が必要であり、それなくして改善はありえないし、最悪の場合は撤退→解散の憂き目にも遭いかねません。

レベルを上げて力関係を強化することは可能なので、あとは関係者の頑張り次第。
各競馬場間で切磋琢磨して、地方競馬全体のレベルが向上すればいいですね。