地方競馬は実力差が明確であるとよく言われています。
それゆえに、高額配当になりやすい3連複とは言え、地方競馬においてはそんなに高額な配当にならないと考えられがちです。
地方競馬のレースを見ていると、実力どおりに決着するケースが多く、波乱の少ない印象を持たれていますが、果たして本当なのでしょうか?
ところで中央競馬などを見ていますと、情報量が多いことや、世間からの注目度が高いこともあって、荒れやすいとか、高配当が出やすいなどとよく言われています。
だからこそ、中央競馬は荒れやすいが、地方競馬は荒れにくい、などと言われ、そんなイメージが定着しつつあるのではないかと考えられます。
地方競馬は情報量が少ないことや、世間からの注目度があまりないこともあって、その実情がきちんと伝わっていない面もあり、調べて見る価値があると考えられます。
そこで今回は、地方競馬における3連複の平均配当額はいったいどのくらいなのか、地方競馬は実力差が明確なら、本当に3連複での高配当は望めないのか?
こうした点について、これまでに記録した地方競馬における3連複の平均配当や最高配当、最低配当などを挙げて紹介しつつ、解明していきますので、どうか最後までお付き合いください。
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オッズは変わりやすいー倍率が上下する仕組みについて
取っ掛かりとして、倍率がどうやって上下に動くのか、その仕組みについて説明します。
勝馬投票券の倍率(オッズ)は、出走頭数と投票された数によって決まるため、出走頭数と投票の数が多ければ多いほど人気が分散することから、結果として高額配当になりやすいです。
反対に出走頭数と投票の数が少なければ、実力馬に人気が集中することになり、その結果、低額配当になりやすくなっています。
地方競馬ですと、中央競馬のように参加者が多いわけではなく、その上に出走可能頭数も中央競馬ほど多くありませんから、どうしても配当が低めになっていきます。
地方競馬はたいてい出走頭数が12頭(大井競馬右回りコースの場合は16頭)であり、中央競馬のような多頭数でレースが行われることはありません。
反対に中央競馬の場合は出走頭数が最大18頭であり、頭数が多いことから馬券参加者の思惑が動きやすいため、人気が分散して配当が荒れやすくなるというわけです。
したがって中央競馬の方が高額配当が出やすい上に、情報量が豊富で参加しやすい環境にあることから、地方競馬に参加する人が増えず、高額配当も出にくいという状況になっています。
各競馬場別3連複平均配当(2023年4月分。一部例外あり)
ここでは各地方競馬場の2023(令和5)年4月における3連複の平均配当を列挙しておきます。
なお一部データが揃わなかった競馬場分がありますので、揃わなかった競馬場については、調べられる限り直近のデータを提示しておきます。
競馬場名 |
平均配当額(円) |
帯広 |
3,885 |
門別※1 |
6,561 |
水沢 |
5,175 |
盛岡※2 |
4,617 |
浦和 |
10,606 |
船橋 |
8,503 |
大井 |
14,316 |
川崎 |
11,002 |
金沢 |
4,616 |
笠松 |
3,787 |
名古屋 |
14,348 |
園田 |
8,309 |
姫路※3 |
5,058 |
高知 |
11,180 |
佐賀 |
6,043 |
※1 2022(令和4)年10月開催分
※2 2022(令和4)年 2月開催分
※3 2022(令和4)年11月開催分
この中で平均配当額1万円を超えたのは、浦和・大井・川崎・名古屋・高知の5箇所でした。
高知を除けば、だいたいが人口の集中している都市圏に立地している競馬場であり、人口が集中していることで観客も多く、馬券参加者の思惑も交錯しやすいものと考えられます。
ここではこの5競馬場の傾向を中心に言及します。
名古屋と大井は馬券参加者が多いことが影響
全国15競馬場の中で、一番平均配当額が高かったのが名古屋競馬場と大井競馬場です。
全国的に3連複の平均配当額が4〜5千円台で推移している中、両競馬場は全国トップの1万4千円台で推移しており、馬券参加者の思惑がかなり交錯していることがうかがわれます。
名古屋競馬場は、2022(令和4)年4月に、名古屋市港区から名古屋近郊の弥富市に移転しており、現在の名古屋競馬場はその二代目にあたります。
かつての名古屋競馬場は比較的堅い決着に終わることが多く、1番人気馬の勝率が49.8%、2番人気馬は21.9%、3番人気馬は11.5%と、人気上位馬が手堅く勝利を収めていました。
その効果もあって、旧名古屋競馬場での3連複平均配当は4,397円でしたが、移転後は8,425円と倍近い金額にまで及んでいます。
また1番人気馬の勝率も42.3%と低下し、2番人気馬も20.6%と落ち込むことに(3番人気馬については、逆に12.1%と改善される)。
これらの詳しい原因は不明ですが、移転でコースが変わったことも原因の一つとして考えられますが、まだ移転から満1年であり、今後この数値が変わる可能性もあります。
大井競馬場については、期間中大きく荒れたレースは少なかったものの、3連複で10万円以上の高額配当が3回出ており、これらが影響した面は否めません。
ただでさえ馬券参加者が多く、たくさんの思惑が交錯する競馬場でもありますので、まずは手堅い馬を狙っていくのが必勝法ではないでしょうか。
川崎・浦和・高知はヒモ荒れで波乱を招く
残りの3競馬場については、本来配当が荒れるような競馬場ではなく、むしろ有力馬が人気どおりに勝ち星を挙げることで知られているだけに、この結果は意外な感じがします。
川崎競馬場の場合、4月の開催期間中に10万円以上の配当が2回出ておりましたが、それ以外はたいていが数千円程度の配当で、大荒れのレースは少なかったように感じられます。
川崎競馬場は小回りのコースであり、実力馬が人気どおりに上位に入着するケースが多かったのですが、一方で2着3着に人気薄の馬が突っ込むこともありました。
そうした点が影響して、平均配当額の高騰につながったと言えるでしょう。
浦和競馬場についても、今回の開催では60レースあった中で、1番人気から3番人気までの上位人気馬が1着に入ったケースが42回あり、70%と高い勝率を記録しました。
そのうち1番人気馬が1着に入ったケースが23回あり、3回に1回は勝っている計算になります。
ではなぜこんなに平均配当額が大きいのでしょうか?
その理由を調べてみると、3連複で5万円以上の配当を記録したレースが3回あり、中には15万円と9万円という高額配当も含まれておりました。
高知競馬場も同様であり、4月の開催が91レースありましたが、1番人気から3番人気までの上位人気馬が1着に入ったケースが74回、81.3%の勝率を収めています。
1番人気馬が勝利を収めたのは44回で確率48.3%、ほぼ2回に1回は勝っています。
そんな中、3連複で10万円以上の配当を記録したレースが4回で、期間中の4月9日(日)には10万円以上の配当が2回あり、ヒモが荒れると、とんでもない配当が飛び出すようです。
したがってこれら3競馬場に共通しているのは、人気馬が1着2着に入ったときほど、ヒモとなる馬の存在に注意する必要があるということで、抜け目ない予想が必要となりそうです。
その他の競馬場ー船橋・園田も高めの傾向
平均配当額が1万円を超えなかったものの、首都圏にある船橋競馬場や関西圏にある園田競馬場も高めの傾向を示しており、両競馬場とも平均配当額が8千円超を記録しています。
船橋競馬場は4月の開催で60レースありましたが、1番人気馬が勝ったレースが27個と勝率45%を記録しており、3連複で5万円以上の配当を記録したのも1回しかありません。
しかし1番人気馬が負けた33レースの中で、人気薄の馬が2着3着に突っ込んできたことから、3連複で3万円ないし4万円の配当をつけたレースがいくつかあり、その影響が考えられます。
園田競馬場も事情は同じで、4月の全開催155レースの中で、1番人気馬が勝ったレースが68個あり、勝率も43.9%、連対率62.6%、3着以内に入る確率も78.7%を記録しています。
2番人気馬も勝率21.3%、3番人気馬も同13.5%を記録するなど、比較的人気馬が上位に入着して堅めの傾向を示している競馬場ではあります。
しかし最低人気の12番人気馬の勝率が6.3%と、こちらも高めの数字を記録しており(人気別成績では6番目に高い数字)、こうしたことが影響していると考えられます。
これに加えて、3大都市圏(首都圏・関西圏・中京圏)に所在することで馬券参加者の数も多く、多くの思惑が交錯しやすいという側面もあるかと考えられます。
3連複の最高配当はいくら?
では地方競馬における3連複の史上最高配当はいくらなのでしょうか?
その答えは、2003(平成15)年1月7日の川崎競馬第8レース初夢特別(C1(二))で飛び出した547万730円であり、全74,129票数中的中したのはたったの1票でした。
勝ったのは12番人気の3番コスモフレイズ(岡村裕基騎手)で、2着は5番人気の12番セカンドベスト(岩城方城騎手)、3着に11番人気の6番ローランドゥキー(沖野耕二騎手)。
2着こそ5番人気でしたが、1着3着が人気薄の馬であり、こうした点も高額配当につながったものと考えられます。
反対に3番人気の5番ニノサキ(前住和寿騎手)は5着でしたが、2番人気の8番コロモミキオー(的場文男騎手)は7着、1番人気の11番サイレントピース(今野忠成騎手)は14着最下位。
人気馬が総崩れとなったことで、配当が大荒れになる一因となりました。
ちなみにこの記録は、2023年4月現在でも破られておらず、20年間まったく破られてなかったこと自体、このレースの配当の異常さがうかがい知れるというものでしょう。
なお、中央競馬における3連複の史上最高配当は、2006(平成18)年9月9日の中京競馬第3レース(2歳未勝利)における695万2,600円(530番人気)でした。
このときも13番人気→12番人気→8番人気とゴールインし、上位人気馬は6着→10着→16着と、すべて馬券の対象にならない惨敗ぶり。
しかも1番人気馬はゴール時点では2着でしたが、その後の審議で斜行が認められて6着降着となっており、もし降着がなければ、この記録は成立していなかったでしょう。
3連複の最低配当はいくら?
逆に地方競馬における3連複の史上最低配当はいくらなのでしょうか?
その答えは、2023(令和5)年4月27日の笠松競馬第6レース(B6)で記録した140円ですが、100円台の配当はほかに複勝とワイドだけで、単勝やその他の連勝式はみな300円以上。
3連複こそかなり硬かったのに、珍しいケースになりました。
勝ったのは3番人気の6番チュウワエース(今井貴大騎手)で、2着は2番人気の5番レッドロムルス(渡邊竜也騎手)、3着に1番人気の7番セントレ(岡部誠騎手)と決着。
1着と2着の着差は2馬身1/2程度でしたが、3着以下は大差と圧倒的な差がつく内容で、1着馬の実力が浮き彫りにされたレースだったと言えるでしょう。
ちなみに中央競馬における3連複の史上最低配当は110円で、なんと3回記録されています。
史上最低配当110円が記録されたレース
・2003(平成15)年7月20日 新潟競馬第1レース(2歳未勝利)
・2004(平成16)年2月15日 京都競馬第3レース(3歳新馬戦)
・2022(令和 4)年1月16日 中京競馬第8レース(梅花賞)
いずれのレースも1番人気から3番人気で決着したレースであり、2番人気馬と3番人気馬の着順が入れかわったのがあった程度ですが、おおむね人気どおりでの決着で決まりました。
そうなると、110円という配当額になったのも納得がいきますね。
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まとめ
以上「地方競馬で3連複の平均配当は?最高配当と最低配当も探る」について言及しました。
今回の記事をまとめると、以下のとおりとなります。
まとめ
・地方競馬は配当が堅いと言われているが、よく調べてみるとそうでもなかった。
・大都市圏の競馬場は、馬券参加者が多いこともあって思惑が交錯しやすく荒れ気味。
・名古屋競馬場は平均配当が高いが、移転1年目につき様子を見ながら馬券を買いたい。
・川崎・浦和・高知の3競馬場はヒモ荒れが多く、人気薄の馬に注意したい。
・地方競馬3連複の最高配当は547万円で最低配当は140円。
3連複は3連単と比べて当てやすい分だけ、配当は3連単のそれと比べものにはなりません。
ただし3連単と比べて当てやすい点が人気を呼び、3連複専門で買うという人もいるとか。
しかし高額配当を期待して馬券を購入してはみたものの、投資金額を回収するには、はるかに低すぎる配当しかもらえず、「トリガミ」で終わることも少なくないでしょう。
ですので馬券を買うときには、オッズをよく見ながら、どのくらい資金を投入すれば的中したときに回収できるか、資金の投資割合をどのくらいにするか、よく検討する必要があります。
その場の勢いで「イケイケドンドン」式に馬券を購入していたら、結果的に大損をすることは火を見るより明らかです。
川崎、浦和、高知の各競馬場の例を見ても分かるように、堅い決着の多い競馬場であっても、穴馬も抜け目なく入れておくしたたかさも、持ちあわせておきたいですね。
馬の状態や当日の馬場の傾向などもよく見極めた上で、手堅い配当も、一発大穴配当も、双方的中できるよう、楽しい3連複ライフを過ごしていただきたいと思います。